朱漆香水入
(しゅうるし こうすい いれ)
とがった形の赤いふしぎなもの。二つのパーツに分かれていますが、ぴったり合わせることができます。実はとがった部分はフタになっています。香水瓶(こうすいびん)を入れるものとして考えられました。紙やプラスチックのパッケージの豪華版(ごうかばん)なのです。形や使いかたはデザイナーの柏崎栄助が考えました。
作者 | 柏崎 栄助(かしわざき えいすけ) 作者について |
素材・技法 | 木に朱色(しゅいろ)の漆(うるし)と黒の漆(うるし) |
制作時期 | 1935年ころ |
サイズ | たかさ 8.4cm × おくゆき13.5cm |
ゆるやかな美しいカーブを描くトンガリは沖縄の「クバ笠」(くばがさ)をヒントに形を考えたと言われています。クバとはヤシ科の木の名前で、クバの葉で作った被(かぶ)り物のことを「クバ笠」と呼んでいました。沖縄では島や地域ごとに違う形のクバ笠があったそうです。
柏崎栄助はデザイナー、つまりモノの形や素材、仕組みなどを考える人でした。彼が大学で学んでいたころは「図案家」(ずあんか)と呼ばれていました。柏崎は「クバ笠」をはじめ、沖縄の織物の文様や南国の植物のクロトンなど、沖縄で目にした様々なものを参考に、洗練された器物の形や装飾(そうしょく)を考えました。《朱漆香水入》は、柏崎のデザインをもとに、沖縄の組合・工房であった「紅房」(べんぼう)の職人たちによって作られ、「紅房」を代表するものとして戦前戦後を通じて長く愛され続けました。
とろりとした艶(つや)のある柔らかな赤い色は、ウルシの木の幹からとった樹液を加工した「漆」(うるし)をぬり重ねることによって生まれます。漆を用いた器は、何千年も昔の縄文時代から日本では作られていました。しかし、今ではお正月や祝いの席などの盃(さかずき)やお酒を注ぐ器などでしか見る機会がないかもしれません。《朱漆香水入》がつくられた昭和時代の初めは、今よりはずっと漆器(しっき)は身近な存在でしたが、社会や生活のありかたが変わり、必要とされるものも変化しつつありました。そのなか、柏崎は新しい時代にあわせて、新しい漆器の形や使い方を提案していました。香水瓶を入れるパッケージとして漆器を使うという発想は、当時の人々の目にも新鮮に映ったことでしょう。
とんがり帽子のような形。
沖縄で昔から使われている「クバ笠」という帽子をイメージして作られた入れ物です。
入れ物はどんな感じがしますか?
かたい やわらかい
重い 軽い
つるつる ざらざら
両手におさまるくらいの入れ物です。
あなただったら、この中に何を入れてみたいですか?
お気に入りのものを大切にしまってみましょう!
あなたの大切なものは、どのような入れ物にしまいたいですか?
大切なものに似合う入れ物をさがしてみましょう!