静物
(せいぶつ)

 
 
テーブルの上のポットや皿、リンゴやブドウなどがカラフルな色で描かれています。そして、その向こうには赤と青のもよう。さて、このもようは何に見えますか?カーテンや壁(かべ) のもようでしょうか?カーペットや床のもようでしょうか?それとも全く別の何かでしょうか?
作者 児島善三郎(こじま ぜんぶろう)
素材・技法 画布(がふ)に油絵具(あぶらえのぐ)
制作時期 1949年
サイズ たて 61.0cm × よこ 73.0cm

豊かな色彩は作者・児島善三郎の絵の特徴(とくちょう)の一つですが、この絵には色以外に児島がどんなことに関心を持っていたかが良く分かる部分があります。この絵を描いたころの児島は「新しい立体の処理法」を見つけようとしていました。3次元を2次元の平面の上でどう表現するかについて色々なことを試み、2次元だからこそ生まれる効果を探していました。

《静物》に描かれているものには、3次元のボリュームが表現されているものもあればペタっと2次元的に表現されているものもあります。また、それぞれ真横から見たり、真上から見たり、斜め上から見たりという様々な視点が混じり合っています。それらを児島は一枚の絵に巧みにまとめあげています。赤と青の模様(もよう)がカベなのか床なのか、カーテンなのかカーペット、あるいは全く別のものなのか、色々な見え方をするのはそのせいでしょう。児島は「安定しないところの美しさ、安定と不安定の微妙な中間にあるものを、どうにかして捕らえて行きたい」とも言っています。それは2次元の「絵画」だからこそできることです。

児島善三郎は、以前は風景や人物などの絵を描くことが多く花や果物の絵(「静物画(せいぶつが)」とも呼びます)はとも言われています。しかし、ある時期から、じっくりと集中してこれらの絵に取り組みはじめました。児島はこんな風に言っています。「ただ、この一カ月のリンゴの研究でリンゴだけなら、やっと私以外まだだれも描いたことがないリンゴをできるようなりました」「果物の静物が描けたら風景も花も人物も同じだと思います」。(※元の文の漢字を一部平仮名にしています)。そんな研究の末に描かれたのが、《静物》に描かれているリンゴなのです。そして1個のリンゴの描き方から児島の絵画の世界は広がっていったのです。

 

テーブルの上に色々なものが置いてあります
何が描かれていますか?

描かれているものをあげてみましょう!

例えば
・お皿

児島善三郎は、雨の日の退屈しのぎで花や果物といったテーブルの上に置いたものを描くようになりました。
あなただったら、テーブルの上に何を置きますか?

家にあるものだけで、描きたいものをテーブルの上に並べてみましょう!