玄海灘(ー)・玄海灘(二)
(げんかいなだ)

 

天にむかってすくっとのびる2つの物体(ぶったい)。この2つの彫刻(ちょうこく)は冨永朝堂(とみながちょうどう)が「ラワン」や「クスノキ」という名前の、やわからい木を彫(ほ)ってつくりました。ノミとよばれる道具(どうぐ)で彫ったデコボコしたあとが見えるでしょうか。

作者 冨永 朝堂(とみなが ちょうどう)
素材・技法 彫(ほ)った木に茶色や黒の漆(うるし) (一)【木彫・着色(ラワン・彩色茶漆)】(二)【木彫・着色(樟・彩色黒漆)】
制作時期 1961年(一)、1962年(二)
サイズ (一)たかさ 183.0cm、(二)たかさ 171.0cm
枝であらわす波模様

冨永朝堂はこの2つの彫刻に「玄海灘」というタイトルをつけました。福岡県や佐賀県の北にひろがる「玄界灘」という海の名前からとりました。どちらも縦長の彫刻ですが、よく見てくらべると、
(一)は五角形や六角形の筒状の形が斜めに重なり合っていて、(二)はカーブを描く模様が彫られています。(一)は玄界灘に向かって広がる岩場にみられる「柱状節理(ちゅうじょうせつり)」※からイメージをふくらませているといわれています。(二)は岩の海岸に打ちつける荒波のようにも見えます。厳しく雄大な海を彫刻という方法で表現した作品です。 

※冷えていく溶岩やマグマが縮むときにできる5角形や6角形の柱状の割れ目

彫刻は平面の絵画の表現とは違い、立体として三次元(3D)的な広がりをもっています。多くの場合、360度どこからでも見ることができます。そのため、壁にかける絵画よりもどこに置くか決めることが難しい時があります。≪玄界灘(一)≫、≪玄界灘(二)≫は、福岡県立美術館の4階のロビー、吹き抜け階段に面した窓のそばで見ることができます。1985年、福岡県立美術館が開館したときに冨永朝堂はお祝いとしてこの2つの彫刻を美術館に贈りましたが、その際に美術館の中をすみずみまで見て回り、どこに展示するかを決めました。それから30年以上たった今でも、「玄界灘」は同じ場所で福岡県立美術館を訪れる人たちを待っています。

冨永朝堂は海の波をイメージして作品を作りました。

どんな波ですか?

彫刻の形や、木の表面に彫られた線から想像してみよう!

強い波  優しい波   大きな波   小さな波   見たこともない波   こわい波  岸にやってくる波   ゆっくりとした波   まっすぐな波   あれくるった波  岸から去ってく波  ぐるぐるとした波   やわらかい波   よわよわしい波   やさしい波

どんな音が聞こえてきそうですか?

例えば・・・・
ぐんぐん   ぐるんぐるん   カチカチ   ぐーーーーーん   どすん   ざざっ

後ろから見ると、どんなふうに見えると思いますか?

彫刻の形を体でまねてしてみましょう!