能面
(のうめん)

絵にえがかれた3つの顔(かお)。これらは、ふるくから日本(にほん)にある演劇(えんげき)の「能」(のう)でつかうお面(めん)です。女や男、子どもに大人(おとな)に老人(ろうじん)、あるいは人ではないものなど、いろいろなお面があります。坂本繁二郎(さかもとはんじろう)は能面(のうめん)をあつめ、それらをもとに30点をこえる能面の絵をえがきました。

作者 坂本 繁二郎(さかもと はんじろう) 作者について
素材・技法 画布(がふ)に油絵具(あぶらえのぐ)
制作時期 1955年
サイズ たて 33.5cm × よこ49.5cm

3つのお面は女性や男性を表すお面です。能の役者は役柄に合わせたお面を被り、上を向く、あるいは下を向くなどの仕草で、感情を表現して演じます。坂本繁二郎は、60歳頃から20年近く、多くの「能面」を描いています。正面から見たものだけではなく、横になっていたり、裏返っていたりさまざまです。繁二郎は、生活に身近な、でもそれまでだったら絵にするには少し不思議なものを描きはじめていました。梨や栗、じゃがいもなどからはじまり、石、レンガ、ハサミ、モーターなど。多くは背景と溶けあうようなタッチで描かれており、「もの」を描くことで、繁二郎は独自の世界を追求しました。能面の絵もそれらの延長上にあります。

能の世界を語るときに「幽玄」という言葉がしばしば使われます。「幽玄」とは「趣きが深く味わいがつきないこと」や「深い余情のあること」、「優雅なこと」などを意味するとされています。ぼんやりとした背景に浮かぶ3つの能面。この絵もそのような言葉で語ることができるかも知れません。
しかし、さらに踏み込んだ言葉を探した人がいました。小説家の井上靖です。彼は「はなやぎ」と表し、次のように言っています。「氏の晩年のはなやぎは美しいと思う。(略)。適当な言葉が思い浮かばないので、かりにはなやぎという言葉を使ったが、「幽玄」と言ってもいいかも知れない。だが、幽玄という言葉の持つ暗さと冷たさはない。能面がはなやぎ、馬がはなやぎ、月がはなやいでる。」
あなたは坂本繁二郎の絵にどのような言葉をおくりますか?

能面とは、ふるくからある日本にある演劇の「能」でつかうお面のことです。
並べられた能面はどんな表情に見えますか。
右:
まんなか:
左:

あなたはどんな時にその表情をしますか。

並べてみよう!
能面カードをダウンロードしてみましょう。
坂本繁二郎の絵を見ながら、能面カードをそっくりになるように並べてみましょう。
描かれたお面は壁にかかっていますか?それとも机においてありますか?
この順番に並べたのはなぜだろう・・・

気持ちを伝えあってみよう!
いろいろな感情(うれしい、怒り、悲しい、楽しいなど)を顔の表情だけであらわして、家族や友だちとあてっこしてみましょう。