群鯉二態
(ぐんり にたい)
何匹もの鯉(こい)が絵のなかをおよいでいます。えがいたのは水上泰生(みずかみたいせい)です。
泰生は小さいころから魚が大すきで、なかでも鯉がいちばんのお気にいり。大人になってもたくさんの鯉をえがきました。
作者 | 水上 泰生(みずかみ たいせい) 作者について |
素材・技法 | 紙に岩絵具(いわえのぐ)・墨(すみ)・金でい 【紙本着色】 |
制作時期 | 1936年 |
サイズ | それぞれ たて 168.3cm × よこ 373.2cm |
この絵は「対(つい)」[2つで1セット]になっています。2つの絵をよく見て比べてみましょう。
どんなところに違いがありますか? 水上泰生は鯉をテーマにしてこの絵を描きましたが、それぞれに異なる鯉の様子が表現されています。一方はたくさんの鯉で、もう一方は少しだけ。一方には白や赤の色がある鯉がいて、もう一方には黒い鯉だけ。一方は大小さまざまな鯉で、もう一方は大きな鯉だけ。あるいは鯉の泳いでいる様子、そのスピード感はどうですか?ーー泰生はこの絵を「群鯉二態」(鯉の群れの二つの様態・様子)と名付けました。
横長の画面に縦に線がいくつか入っています。実はこの線の部分でジクザグに折れるようになっています。この作品は屏風(びょうぶ)に描かれた絵なのです。高さは168.3cm。横はまっすぐのばせば4m近くありますが、折り曲げて立てるともう少し小さくなります。
泰生は屏風や襖(ふすま)など大きな画面に絵を描くのを得意としていました。同時に細かく描くのも得意でした。魚のヒゲやヒレやウロコをどのように描いているかじっくり見てみましょう。鱗のきらめきが、美しい金色の線で細やかに表現されているのがわかりますか?
水上泰生は「鯉の名手」と言われるほど、鯉を描くのが得意でした。
ここには小さい鯉から大きな鯉までたくさんいます。
●数えてみよう!
1、2、3・・・鯉は何匹いますか?
●鯉はどこへむかっているのでしょう。
1匹ずつ鯉の動きを指でなぞってみましょう