落合の街角
(おちあい の まちかど)
横断歩道(おうだんほどう)のある道のわきにならぶ家々。電柱(でんちゅう)などがたちならぶ、どこにでもあるような街角(まちかど)の様子がえがかれていますが、地面は赤く、空の色も少しふしぎです。この絵を描いた大内田茂士(おおうちだしげし)は、この時期、電柱と電線(でんせん)、そしてカラスが登場する風景をたくさんえがきました。
作者 | 大内田 茂士(おおうちだ しげし) 作者について |
素材・技法 | 画布(がふ)や紙(かみ)をはったものに油絵具(あぶらえのぐ) |
制作時期 | 1993年 |
サイズ | たて 160.5cm × よこ 183.8cm |
「毎朝の散歩道の頭上には大小さまざな電線が入り乱れて角度を変えるたびにおもしろい構成を作ってくれる」と大内田茂士は言っています。どこにでもあるような身近な風景のなか、大内田が興味を引かれたのは、電線が作り出す縦・横・斜めの黒い線によって風景が分割されること、そしてその「構成」だったのです。構成とは色々な要素を組み立てること。大内田は目に見えている景色などをそれぞれの要素に分けて、整理して、絵の中で組み立て直すということを行ってきました。例えば、いくつもの四角形を積み木のように組み合わせて風景を描いていたこともありました。
具象画(具体的なものを描き、その形がはっきりわかる絵画)と抽象画(具体的なものを描かず、色や図形などで構成される絵画)の間を行き来した大内田ならではといえるでしょう。
画面の真ん中、緑のところに不思議な円形がいくつもあります。これは厚くぬった絵具にクシか何かで凸凹(でこぼこ)の跡をつけたものです。大内田茂士は絵画の絵肌(絵の表面の質感のこと。「マチエール」ということもあります)を作り込むことに興味があったようです。引っかいたり、削ったり、はがしたり、凸凹をつけたり、色々なことをしています。《落合の街角》にも色んな凸凹があります。不思議な色の空も、ただ色をぬっているだけではありません。よく見ると、はがしたり引っかいたりしていることに気づきます。
ここは大内田茂士が毎朝散歩をしていた場所です。
どんなところですか?
時間は何時ころだと思いますか?
音がするものをあげてみましょう!
大内田さんは、絵具をぬるだけでなく、一度ぬった部分を引っかいたりしています。
電柱の文字の一部は、描いてはいません。広告の紙がはられています。これは紙や布などをはりつけて絵をつくる「コラージュ」という方法です。
あなたも紙や新聞紙、広告などを紙にはってコラージュに挑戦してみましょう!