墨(すみ)

(すみ)は、油や松を燃やした後に出てくる煤(すす)を膠(にかわ)でねり固めたものです。硯(すずり。石できた皿のような平たい道具)に、水とともにすり下ろして使います。
墨の色は黒ですが、品質やねりあわせ方によって色にちがいがでてきます。香料(こうりょう。よい香りをつけるための材料)や染料(せんりょう。染(そ)めるための材料)をまぜて黒の色のちがいをだす時もあります。
油の煤(すす)で作った墨は、油煙墨(ゆえんぼく)とよばれています。うすくすると茶色っぽい色のため「茶墨(ちゃぼく)」とも言います。艶(つや)があり、墨が古くなっても色の変化はほとんどありません。松の木の煤(すす)で作った墨は、松煙墨(しょうえんぼく)とよばれています。青っぽい色のため「青墨(せいぼく)」とも言います。墨色は艶がなく、時間がたつと色が青黒くなります。
東アジアでは、墨と水の分量を調整し、同じ黒の色でもさまざまな濃(こ)い黒、うすい黒を使って景色や動物など、いろいろなものを表現してきました。また、墨の「にじみ」や「かすれ」を利用したり、濃さのちがう墨を重ねたり工夫することで、黒だけでもはば広い表現を可能にしています。

「墨」(福岡市美術館「どこでも美術館」教材より)

「硯」(左)・「墨」(中央)・「朱墨」(右)(福岡市美術館「どこでも美術館」教材より)